更年期に突入したカオリ（45歳）は、毎朝起きる度に自分がどんな気温の場所にいるのか混乱してしまう。
「顔はまるでサウナ、体は北極」
その極端な温度差が、毎日のストレスと苦しみに変わっていく。エアコンの温度をいじる手も空回り、調整してもどちらも満足できない。

 

【朝のミスマッチな目覚め】

カオリは目覚めた瞬間、布団を力強く剥ぎ取る。顔が真っ赤に火照り、汗が額を流れ落ちる。その一方で、腕や足は氷のように冷たく、震える。こんな状態が毎日続くことで、次第にカオリの心に不安が募っていく。
「もう、私は北極と砂漠の間で暮らしてるの？」

 

【職場の二重苦】

職場に到着しても、その不安は拭えなかった。会議室に入るたび、部屋の温度調節に不安がよぎる。「今日こそ普通で過ごしたい」と心で祈るが、数分後には顔が再び火照り、冷たいひざ掛けが必要になっていた。
同僚から「カオリさん、暑いですか？それとも寒い？」と聞かれても、答えに困る。「両方なのよ！」と叫びたくなる気持ちを抑えて、冷たいタオルを取り出す。自嘲気味に笑いながら、カオリはこうつぶやく。「私の体温、もうミステリーね」

 

【家族のあたたかいサポート】

帰宅すると、夫が温かい笑顔で迎えてくれる。「今日もカオリモードだったか？」
「家のエアコン、デュアルモードにできないの？」と軽口を叩くが、子どもたちも「ママ、温度の魔法使いみたいだね」と笑い声をあげる。
家族の笑顔が、唯一の救いだが、カオリの心には不安が広がる。「これがいつまで続くんだろう？」

 

【運命の出会い】

ある日、友人のリサが整体院を勧めてきた。「私も更年期の症状で困ってたけど、血流を整えたらすごく楽になったよ」
「マッサージで？」と半信半疑のカオリに、リサは真剣な目で言った。「これはマッサージじゃない。体のバランスを整えるんだよ」

 

【新しい希望を感じて】

リサの勧めで、カオリは半信半疑で整体院を訪れた。施術中、整体師が優しく言った。「顔が暑くて体が冷たいのは、血流やホルモンバランスの乱れが原因かもしれません。体を整えることで改善できるんですよ」
その言葉に、カオリは初めて希望を感じた。

 

【変化の兆し】

数週間後、カオリは驚くべき変化を感じ始めた。顔の火照りが少し和らぎ、足元の冷えも軽減した。「これが普通の体温ってこと？」その瞬間、カオリの心は安堵に包まれた。
「最近、エアコンのリモコン触ってないな！」と夫が驚く。
「そうなの、今は自分で温度の調整ができるの！」カオリは明るく笑う。

 

【新しい自分への第一歩】

休日にカフェでリサとお茶をしながら、カオリはこう言った。「更年期って、自分を深く知るチャンスだって思ったの」
リサは驚き、聞き返した。「どういうこと？」
「体がいろんな信号を送ってるってことを、無視するのはもったいないなって思ったの」
リサはうなずき、笑顔で答える。「確かに、そうだね。更年期、悪くないかもね」